『ホルモン系と自律神経によるコントロール』

女性生理における卵巣と子宮内膜の周期変化は、生殖、妊娠、出産という機能を果たすために必要なかていで、本来、一定のリズムに従って維持されています。
このリズムをコントロールしているのが脳の視床下部で、ホルモン分泌系と自律神経系を通じて規則正しい周期変化を起こしています。

視床下部は広い意味で生命維持・自己保存の本能的な生理現象の全般をコントロールする中枢です。生理の各過程ごとに規則的なリズムをとる一方、外からの刺激や情報にも敏感に対応しています。
知覚神経を通して大脳皮質に集められた視覚・聴覚・触覚などの情報は、その内側にある大脳辺縁」系へと送られ、そこで蓄積されている記憶・認識と照らし合わせて、すぐに意味づけされ、各種の感情(快・不快、好き・嫌い、喜び・怒り、楽しい・悲しい、満足感、焦り、安心、恐怖、愛、嫉妬など)や欲求・衝動(意欲、食欲、性欲など)が生まれます。

その中心に位置する視床下部はホルモン分泌系と自律神経系を通じて、その感情や欲求にともなう行動に適した身体の態勢を整えています。自分の感情や欲求のままに行動することを抑え続けたり、悪い感情を起こす体験ばかりが続いたりすると、視床下部が対応しきれなくなって、内臓の機能を失調させ、女性生理のリズムをコントロールする機能にも悪い影響がでてきます。

月経周期が乱れたり、排卵までの過程が順調に進まなかったり、着床の準備が不十分になったりします。逆に、ホルモン分泌系と自律神経系のアンバランスから感情や体調の乱れを生むこともあります。
漢方では、このホルモン分泌系と自律神経系の両方に働き、気の流れを良くする理気薬を使って、女性生理のリズムを整えています。