「基本は気と血」
中医学では人体は五臓六腑を中心として、気(エネルギー)と血が経絡という通り道を流れて生命活動が維持されていると考えます。
女性特有の病気、他の病気でも治療原則は同じとなります。
まずは気と血のどちらに問題があるのか、気と血が五臓六腑のどこで問題を起こしているか、病気の特質として冷えと熱のどちらにあるかで治療方法を決めていきます。
女性特有の月経、妊娠、出産、授乳の大もとは血です。
血だけでは十分に機能することは出来ません。気の助けにより、はじめて血は力を発揮します。
気と血のトラブルは二つ。
一つは不足した状態で(中医学では”虚”きょ)といい、気が不足すれば”気虚”、血が不足すれば”血虚”となります。
もう一つは気または血が滞った状態で、気が滞れば”気滞”、血が滞れば”瘀血”となります。
「体の根本は腎」
中医学はで”精 せい”という物質(生命エネルギーのもと)が体全体をコントロールしていると考えます。
この精は父と母から受け継いだ先天的なもので、腎に蓄えられている”腎精”と言います。
腎精が十分にあれば、女性の生理、つまりは月経、妊娠、出産、授乳は正常に機能します。
腎精が不足すれば、身体の基礎部分が完全ではなく、不妊や閉経の原因となります。
この腎精不足に対して、腎の働きを強くする補精、補腎薬を使用します。
動物性の生薬である、”鹿茸ろくじょう”(鹿の幼角)や”蛤蚧ごうかい(オオヤモリ)などが配合された漢方薬を使用します。
生理周期を28日前後でコントロールしてるのは、中医学的な”肝”の働きとなります。
ストレスなどで肝の働きが乱れると、月経が早まったり、遅れたりと生理不順が現れます。
一般的には逍遥散(しょうようさん)などの疏肝理気 そかんりき”薬を用います。
月経の材料は血であり、この血は食べ物や養分から中医学的な”脾胃”(胃や腸の消化機系)の働きを通してでき、この機能が十分でない場合は、血が不足して月経が遅れます。、
ひどい場合には年齢が若くても月経が止まり、不妊原因となる場合があります。
授乳している時に月経がないのは、血が上に上がって母乳となり、下に下がる血が不足する為と中医学では考えます。
血が汚れてきてドロドロした状態を瘀血(おけつ)と呼び、この瘀血は生理痛、閉経、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫などの原因になると考えられます。
瘀血を解消し、血をサラサラな状態にする時には活血薬を用います。